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2011年 08月 15日
8月の、折り返しの日。
この夏も、あっという間だな、と思ったり。 まだまだ暑くて、と思ったり。 夏の終わりを、そろりそろりと感じつつ、 8月の大人( )絵本の会、開催です。 たくさんの笑顔が集まった今夜は、 いったいどんなお話、伺えるでしょう? - - - - - - - - 夏にぴったりの絵本とともに、 久しぶりにいらしてくださった、Mさん。 ![]() 『うみのむこうは』 五味太郎 作 絵本館 刊 海を眺めている、女の子。 水平線の向こうには、いったい何がある? 幼い頃、親戚からプレゼントされた絵本だという、Mさん。 「大好きで、飽きることなく何度も読みました。 その後の物事の考え方や、とらえ方に、影響を受けた本です」 ご自身も絵をお描きになるMさんは、 この絵本の構図が、特にお好きだったそう。 絵本の下半分弱くらいに描かれる、女の子と水平線と。 この部分は、常に変わりません。 水平線より上半分は、普通なら空、ですが、 絵本の中では、ページを繰るごとに、 女の子の想像が、次々と展開していくのです。 知らない動物がいるかも。 遊園地があるかも。 もしかしたら、誰かがこっちを見ているかも…!? 「子どもの頃は、このサイズの絵本でも、 とても大きく感じていて。 だから、自分も絵本の中にいるような気分で、 海の向こう側を、想像していました」 水平線の 「向こう」 から、寄せてはかえす波も、 想像の 「向こう」 から、やってくるのでしょうか。 想像力をかき立てる、この一冊に、 幼い頃に出逢えていたMさんを、羨ましく思いました。 - - - - - - - - 図書館司書のTさん。 8月は、戦争の話題も増える中、 この夏は、3.11のこともあって、 すこし重い気分を抱えていたそう。 「つきぬける絵本」 を探していらしたところ、 仕事で出かけた絵本の展示会で、この絵本に出逢いました。 ![]() 『カミナリこぞうがふってきた』 シゲリカツヒコ 作 ポプラ社 刊 突然の雨。 大音量のカミナリと共に、落ちてきたのは、カミナリの子ども。 小学生のぼくより、でかい、巨大な巨大なカミナリの子ども。 落雷で、僕の髪の毛は、チリチリのアフロヘアのよう。 カミナリの子どもは、ぼくになついて、どこまでもついてきた。 こんなに巨大なのに、家でも、学校でも、 ぼく以外の誰にも見えない。 帰れなくなったカミナリの子を、家まで送り届けると、 カミナリの仕事を手伝うことになってしまい…!? 大胆な構図とストーリー展開に、 「元気になる!」 「ダイナミック!」 と、大絶賛の声。 巨大なカミナリの子どもが、妙にリアルに描かれていて、 「まるで、孫にそっくり」 とおっしゃる方も。 昔話のようでもあり、ギャグ漫画のようでもあり、 はたまた、宮崎駿的な世界感もあり。 絵の力、ストーリーの力が、溢れ出しています。 大いに愉しめる絵本でありながら、 さりげなく、カミナリ様 (お父さん) に、こんなことも言わせている こころにくい絵本です。 しぜんの ちからを あまくみては いかん。 ラストシーンの雨上がりの空と雲の美しさ! ぜひ絵本で、お確かめください。 それにしても…、 カミナリは、どうしておヘソを取るのか? どうして、トラ柄のパンツを履いているのか? (阪神ファン…!?) 謎は尽きません。 - - - - - - - - 広島に行ってきた、とおっしゃるAさん。 訪れた 美術館 で、迫力の原画に圧倒されて、と この絵本を、本日お持ちくださいました。 ![]() 『ひろしまのピカ』 丸木俊 作 小峰書店 刊 昭和20年8月6日。 いつもの朝が、はじまるところでした。 家族で食卓を囲むひと。 職場へ向かうひと。 8時15分。 原子爆弾の光が、広島をつらぬきました。 真っ赤に燃えあがる炎。 倒壊する建物。 水を求め、逃げまどうひとびと。 川に浮かぶ、死体の山。 朝ご飯を食べているところだったみいちゃん。 被災した父親を背負う母と一緒に、逃げて逃げて、また逃げて。 ようやくたどりついた場所で、 母親は、みいちゃんが朝ご飯の時に使っていたお箸を、 ずっと握ったままだったことに、ようやく気付きます。 すでに、4日が経っていました。 ことばが、飛び交います。 「戦争を知らない世代にとって、原爆は、昔のこと、 歴史の教科書に載ってること程度の感覚だった」 「福島と重ね合わせて、読めますね」 「こんなものが、あったんです」 Aさんは、数枚のポストカードを見せてくださいました。 韓国の写真家の作品で、 福島原発の写真と、広島の原爆ドームの写真とが、 コラージュされたもの。 見事に福島と広島が、ひとつに重なり合っていました。 いや、両者は根っこの部分で同じなのかもしれません。 ポストカードには、題名らしきことばが、ただひとつ、書かれていました。 福 島 広 爆 原 発 絵本には、母親のこんなことばが。 ピカは ひとがおとさにゃ おちてこん。 戦争を語れるひとが、どんどん少なくなっていく中、 これからも読み継いでいきたい、大切な絵本。 今だからこそ改めて、の一冊です。 - - - - - - - - スロウな本屋からは、この絵本を。 ![]() 『ちきゅうの子どもたち』 グールドン・パウゼヴァング 文 アンネゲルド・フックスフーバー 絵 酒寄進一 訳 ほるぷ出版 この夏、20年ぶりに復刊されたばかりの本です。 「わたしをどうするつもり?」 地球は、苦しんでいました。 海や川、空気も汚れ、森は破壊されていく。 動物たちは殺され、地表はコンクリートで覆われていく。 地の底からは、石油や鉄を掘り出し、さらに… こんどは、原子炉をつくって、ねむっていた力を めざめさせてしまった。 あんな手のつけられないもの、 つかいこなせるわけがないじゃない 大人たちは、地球の叫び声を相手にはしてくれません。 唯一、耳を傾けてくれたのは、子どもたちでした。 ぼくたちがおとなになったとき、 ちきゅうが死んじゃったら、どうしたらいいの? ぼくたち、こわいんだ。 それでも耳をかさない、大人たち。 地球と子どもたちは、次の手段に。 地球は、自らの体内にぽっかり穴をあけ、 子どもたちを、招き入れたのです。 地上から、子どもたちの姿は消えました。 大人たちは、大慌て。 あちこち探し回りますが、もちろんどこにも見つかりません。 悲しみのあまり、大人たちは何も手がつかなくなりました。 工場はとまり、店も開かず、 飛行機も飛ばなくなりました。 地球は、その間も回り続け、 少しずつ元気を取り戻していきました。 長い悲しみの日々が続いたある日、 ツバメが飛んできました。 アスファルトの地面を割って、タンポポの花が。 大人たちが、はっと気付きはじめたその時…!? 「大人は忙しすぎて、物事をトータルに考えられなくなっている」 「大人が自殺する時代ですからね。大人に余裕がない」 「未来に、希望を持てなくなっているでしょ」 子どもたちが、未来であること。 希望であること。 失ってはじめて気付くのでは、遅いのです。 絵本のラストシーン。 大人たちは、戻ってきた子どもたちと、じっくり話し合います。 そして、力を合わせて、「あること」 をはじめます。 両者が創り出す未来の姿に、勇気づけられるはず。 - - - - - - - - Uさんは、2冊の絵本をお持ちくださいました。 「福島のことがあって、心配でね、 子どもを産みたくないひと、増えてるんじゃないかって」 ![]() 『こんにちは あかちゃん』 メム・フォックス 作 ヘレン・オクセンバリー 絵 かとうりつこ 訳 主婦の友社 刊 遠くの町で、べつの町で、あかちゃんが生まれた。 ふたりとも、ちいさなおててと、ちいさなあんよ。 生まれた場所がちがっても、 肌の色がちがっても、 生活環境がちがっても、 ちいさなあかちゃんは、みなかわいくて、愛おしい。 「理屈抜きに、あかちゃんってかわいいなって思えるでしょ」 「どんなにいかつい大人でも、このひともかつてはあかちゃんだった、 そう思えれば、意外とムカツカナイ(笑)」 子どもは希望。 シンプルかつ、ストレートに、あかちゃん万歳! と、唱えたくなる絵本です。 もう1冊、Uさんが教えてくださったのが、こちら。 ![]() 『わらっちゃった』 大島妙子 作 小学館 刊 学校帰り、アケミちゃんと、けんかした。 転んで、痛かった。 ムカついて、妹のお菓子も食べたら、お母さんに怒られた。 お風呂に入ったら、転んですりむいた傷がしみた。 ぜんぶぜんぶ、アケミちゃんのせい! 夜、布団に入っても、怒りは収まらない。 かっかかっかしていると、頭からツノがはえてきて…!? 説教臭さがまったくない、すばらしい絵本(笑)。 この後、奇想天外な展開が待っているのですが、 一旦平和解決、と思わせておきながら、 最後にもう一度、ドンデン返しの大爆笑。 「大人は、ケンカしちゃうと大変なことになるけれど、 子どもは、こうやって何度もケンカしながら、すぐ仲直りできるし、 ケンカしながら、成長していくんですよね」 文句なしに、愉しい絵本です。 - - - - - - - - いかがでしたか? 振り返ってみれば、ひとつの隠れテーマのようなものが、 見え隠れしている気がします。 打ち合わせした訳でもないのに、時々起きるこの不思議。 豊かな時間をシェアできたことに、今夜も感謝! ご参加くださったMさん、Tさん、Aさん、Uさん、 ありがとうございました。 愉しい時間を、静かにサポートしてくださった、cafe ahai さん。 今宵もお世話になりました。 絵本とともに過ごす時間。 忙しい大人だからこそ、大切にしていきたいな、と改めて。 大人( )絵本の会、来月もまた、続きます。
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